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■2011アジア基礎造形連合学会台湾大会報告

アジア連合学会担当:星加民雄

 2009年のチェジュ大会から2年が経った。今年度は台湾が主催国となり、8月19日-20日の期間、台中に位置する雲林科技大学において2011アジア基礎造形連合雲林大会が開催された。日本からは22名というチェジュ大会を上回る学会メンバーが参加した。大会参加者の内訳は、台湾150名、日本22名、中国18名、韓国10名、マレーシア1名、シンガポール1名の合計202名。本大会では、54件の論文総発表数に対し、日本からの発表件数は6件、また247点の総作品発表件数に対し、日本からの作品発表件数は18件であった。
  大会初日の基調講演では、武蔵野美術大学の小林昭世教授による「デザインを再構想する試み」と題する講演があった。講演では、バウハウス以降の「デザインと科学の統合」によるデザインの方法論についての考察から、コンセプチュアルな題材をテーマにした教育事例が紹介された。ユニークな視点で、ものごとをとらえ、考え、表現する課題事例として、「醜いとかわいい」など対峙することばのイメージを題材に、それぞれの言葉のイメージを分析し、構成してつなげるという手法でゴキブリを花のように見せる作品などが紹介された。
  基調講演のあと、各国代表による講演があり、日本からは藤本会長が講演された。講演内容は、藤本氏のこれまでのスケール感あふれる作品を題材に、作品の構成要素とまちとの関係性についての内容で、空間アートの実例を通したビジュアルで力強い講演内容が印象的だった。基調講演、ゲストスピーチのあとは国際交流展のオープニングセレモニーがあり、ピアノ演奏のなかで、それぞれの作品を鑑賞することとなった。出力プリントによるパネル展示が多い中、日本からの出品作品は実物による作品展示が多く、入り口付近のメインコーナーに展示されていることも幸いして、他の国の出品作品に比べ見応えのある展示であった。今回はじめて参加した九州造形短大の森下氏の動く木のおもちゃの作品は特に人気を集めていた。懇親会では表情豊かなかぶり人形による民族芸能が披露され、それぞれの国の懇親を深めることができた。
  2日目は研究発表大会で日本からは6人による研究発表が行われ、熱心な質疑応答で発表会場が盛り上がった。昼食後、エキスカーションが組まれ、台湾の寺院や昔の日本人の生活を思い起こさせる旧民家や人形劇を見学した。
  台湾事務局による暖かい歓迎ぶりはひとしお大きく、特に海外での動きに不慣れな日本からの参加者にとっては非常にありがたいもので、学生達の対応ぶりにも感動するものがあった。事務局による行き届いた気遣いはもちろんのこと、深夜まで及ぶ懇親会に加え、市場の見学などのプライベートな行動にまで学生達を案内役につけてくれるなど、短い期間ではあったが、楽しく充実した大会を経験することができた。
  次回のアジア大会(2013)は中国。開催時期、内容等の情報が入り次第おしらせしますので、ぜひ多くの皆様がご参加下さるようお願い申し上げます。

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