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■第17回大会(倉敷大会)報告

大会実行委員長:徳山容

 日本基礎造形学会第17回倉敷大会が、盛況のうちに無事終了したことを報告致します。
 本大会は8月19日(土)20日(日)の2日間にわたり、岡山県倉敷市にある川崎医療福祉大学と白壁の街並みで知られる美観地区にある倉敷市立美術館を会場に行いました。大会には会員29名、学生会員5名、一般参加者5名、学生1名(以上参加費受領)アジア基礎造形連合学会各国地域代表6名、及び高校美術教員や大学教員等(シンポジウム参加)10数名、合計約60名が参加しました。
 8月19日(土)に川崎医療福祉大学で行われた開会式では穂積会長の挨拶の後、アジア基礎造形連合学会の各国地域代表の張桂宜先生(中国上海)、朴京淳先生(韓国)、林品章先生(台湾)にもご挨拶いただきました。また、各代表の方々は来年、日本で開かれるアジア基礎造形連合学会日本大会開催に向け、前日の18日(金)に来日いただき、倉敷市内のホテルでのアジア基礎造形連合学会運営委員会に出席くださり、連合学会の運営や規約、来年の大会への参加体制などについて意見交換しました。
 続いて基調講演・シンポジウムを行い、価値観の多様化する社会において中心の喪失がいろいろな分野で叫ばれて久しいが、基礎造形も例外ではないと思います。昨年の仙台大会のシンポジウムのテーマを引き継ぎ、別な角度からその手がかりにしたいとテーマを「伝える・育てる」─基礎造形(教育)を考える─にしました。
 中山修一先生(神戸大学教授)から、「歴史のなかの基礎造形――イギリスを事例として」というテーマで基調講演をしていただきました。基礎造形という視点から歴史を長いスパンで見た時、歴史主義の中の基礎造形、モダニズムにおける基礎造形、ポストモダニズムにおける基礎造形の内容や意味が時代と共に変化していることがよく分かりました。それを受けて、シンポジウムのコーディネーターは高澤圭一先生にお願いし、パネリストとして大久保英治氏(ランドアーティスト:国際的ランドアーティストとして日本的な自然観や世界観に根ざしながらグローバルな活動を展開)、明珍宗理氏(伝統工芸作家:600年以上続く甲冑師、明珍家52代目当主。千利休の茶室用火箸を作った技を現在の風鈴として蘇らせ、現在はチタン合金の可能性を探求)、柳沢秀行氏(大原美術館学芸課長:パブリックア?トなどを含め、美術(館)と社会の関係についての調査、研究、実践)がそれぞれの立場からお話し頂き活発な意見が交わされました。現在の、多様化社会・高度情報化社会の中での基礎造形とは何なのか?その手がかりを与えてくれたように思いました。同時に、新たな答えを探しながら日常の制作や教育・研究の中で模索を続けなければならないと再確認しました。
 作品発表はシンポジウムの後、展覧会場となっている倉敷市立美術館に移動し、16時から1時間ギャラリートークを行いました。国内作品は星加民雄先生の司会で、作品を前に活発な意見交換ができました。また、韓国基礎造形学会会長の朴京淳先生から韓国の作品展の様子や出品作品についての説明を聞くことができました。作品展示はすでに8月15日(火)からオープンし、20日(日)を最終日としました。作品の展示数は国内の会員から22点、韓国から125点が出品されました。国内会員の22点は熊本大会、仙台大会に比べ、若干少なくなっているのが気になりましたが、作品の質、量、ジャンルの広さ等見応えのある作品が並び、バランスの取れた展示空間になっていたと思います。また、韓国の作品は125点というすごい数でした。韓国の基礎造形学会の会員数は2000名近いとか、そのエネルギーを感じました。展覧会の会期中、倉敷美観地区に観光に来られた人々も含め、416名の入場者がありました。
 倉敷ターミナルホテルでの懇親会では生田流箏曲の生演奏の琴の調べが流れる中、アジア基礎造形連合学会の代表の方々にも参加していただき、彩りを添えて頂きました。また会員の隠し芸に驚き、笑いと大きな拍手を送りながら、その知られざる一面を垣間見て、さらに交流を深めることができました。その後、二次会、三次会と瀬戸の味に舌鼓をうち、倉敷の夜を満喫された方も多かったようです。
 翌、8月20日(日)は10時から川崎医療福祉大学で2会場に分かれ口頭発表が行われ、14件の発表がありました。昼食、休憩時間には医療福祉デザイン学科の施設や作品展示、学科主催の「世界の教科書展」など見学していただき、13時30分からの総会では、議案審議の後、星加民雄先生と山根千佳子さんに研究奨励賞が贈られました。
閉会の後、作品発表者は美術館に移動し、作品撤去、搬出が行われ全ての行事が終了しました。
 皆様方のご協力により無事終わることができました。倉敷大会が少しでも印象に残る大会であったなら望外の喜びであります。


作品展会場風景及びギヤラリートーク:倉敷市立美術館


シンポジウム                              韓国学会代表:朴京淳会長(右)、趙烈先生(左)


台湾学会代表:林品章会長                     上海学会代表:張桂宜先生(左)
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