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新しい時代の幕開けに・・・

会長:村松俊夫

 万緑の候、会員の皆様におかれましては、ますますご清栄のことと拝察申し上げます。先の選挙により、4月からさらに2年間、会長職を拝命することになりました村松です。もとより微力・非才ではございますが、会員の皆様のお力を得ながら会長職を全うする所存でおります。どうかご協力のほどを、これまでにも増してよろしくお願い申し上げます。
 平成最後の2年間、理事や委員の方々、そして会員の皆様のご助力をもちまして、歴代の会長や運営に携わられた方々が築き上げられてきた学術組織としての姿や意味を、大きく変えることなく受け継いでおります。時代も新しい元号「令和」になりました。新体制の理事会にもフレッシュな顔ぶれがそろい、これまでの良い意味での伝統と蓄積を大切にしながら「令和」の時代にふさわしい本学会のあり方を模索していきたいと思います。
 さて、基礎造形学会の創立会員である故朝倉直巳先生は、「基礎造形の基礎とは、医学の中に臨床医学と基礎医学があるように、造形の世界にもまた臨床造形と基礎造形があると考えられる。その基礎医学にあたるのが基礎造形である。」といった主旨のことをご著書のなかに書かれておりました。個人的には、まことに言い得て妙なりといたく感銘したことを覚えています。
 基礎とは、基礎・基本もしくは基盤、あるいは根源・根本・根幹と考えてよいと思います。けして初歩の、初級の、入門のといった意味ではありません。字面の通り「おおもと」「いしずえ」となるものです。樹木を例にとれば、木の根っこ、もしくは幹の部分にたとえられましょう。決して耳目を集める華やかさはないけれど、最も大切な要素と考えます。もちろん、人々に尊ばれるのは、枝や葉などの先端で、花が咲きほこり実を結ぶ部分でしょう。また、他の異なる木々の花々と触れ合い、新しい実がなりこれまでになかった種が生まれるのは、その最先端の領域と思われます。
 しかしながら、いくら目新しい花や実が生まれても、もとの木々が根を腐らせ幹を細らせては、それこそ元も子もありません。一時は美しく咲き誇っていても、根がないために数日のうちに枯れてしまう切花の運命にも似てむなしいものがあります。本学会が会名において標榜する「基礎」ということば。その概念自体を、それぞれの活動において確認したり、自問してみたりする場を提供すること。各人の意識のもとでの「基礎」を想起する機会を設けること。それこそが、この学会の存在意義なのかもしれません。
 今年度の第30回日本基礎造形学会は、神戸芸術工科大学で行なわれます。谷口文保実行委員長を中心とした関西在住の会員の皆様による委員会が結成され、現在着々と準備が進められております。詳細は、第30回神戸大会のご案内【第二報】をご覧ください。全国からの多くの皆様のご参加を、心からお待ちしております。

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